研究分担者 |
三浦 朗 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (30190581)
西保 岳 筑波大学, 体育科学系, 助教授 (90237751)
林 直亨 九州大学, 健康科学センター, 助教授 (80273720)
遠藤 雅子 県立広島大学, 人間文化学部, 助手 (30336911)
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研究概要 |
近年,主に動物実験に基づいて,従来は運動時循環系調節でその重要性が指摘される筋内化学受容器に加えて,血管壁への機械的な刺激を介した血液還流状態などの筋内機械受容器情報が,運動時の換気亢進に寄与する可能性が示唆されている。そこで本研究では,この仮説について,ヒト運動時を対象に実験的な証拠を提出することを目的として,以下に述べるような実験を行い,その検証を試みた。1:運動終了直後の回復期に焦点をあて,運動肢に持続的あるいはリズミックな圧迫刺激を与えることで筋機械受容器を刺激し,その時の換気応答を観察した,2:水平位のチルト台上での運動終了時にあわせてすばやく姿勢を立位に変化させることによって下肢の特に静脈系へ血液貯留を起こすプロトコールを行って,その時の換気応答を観察した,3:運動開始前に過換気を行い運動肢内の末梢血管収縮を起こした条件のもとで運動を開始し,その際に観察される換気亢進抑制が,運動肢内の血液環流低下と関連したものか否かを検討した。これら一連の実験結果は,一部のデータは仮説を支持し,一部は逆に支持しないという相反したものであった。本研究の仮説にはさらなる実験的な検討が必要であるが,もしも実証されれば,そのシステム特性への理解が進み,運動時の循環調節の研究者にも大きなインパクトをもつと思われる。さらに,運動に直接かかわっている筋内の血流還流状態の程度や筋収縮の程度を機械的な情報としてモニタし,それと換気亢進が連関しているという考え方は合目的で理解しやすく運動時の生体調節機構解明という身体システム科学の中の1つの研究領域に,新たな展開を促す引き金になると予想される。
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