研究分担者 |
渡会 公治 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (30167192)
赤居 正美 国立リハビリテーションセンター, 研究部長 (80143452)
金森 章浩 筑波大学, 臨床医学系整形外科, 講師 (80347244)
秋本 崇之 (秋本 宗之) 早稲田大学, 生体工学研究所, 講師 (00323460)
WOO SL ピッツバーグ大学工学部, 教授
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研究概要 |
本研究論文は膝前十字靱帯(ACL)損傷の受傷メカニズムを明らかにし,それに対しての有効な予防トレーニングを構築する事を目的としている.非接触性のACL損傷をバイオメカニクス的に明らかにするためには従来の反射マーカーとViconシステムを用いた手法ではその精度から限界があり,特に受傷時の膝の回旋運動を把握することは不可能に近かった.我々はその解析手法に近年Andriacchiらが開発したPoint Cluster Technique(PCT)を用いた.このPCTは世界で注目されている新しいバイオメカニカルな解析方法である.研究は2つの実験からなる.第一の実験はジャンプでの片足着地実験である.実験は男女の選手27名にたいし30cmの台からの飛び降り実験である,各24個の皮膚マーカーをつけ,この動きをVicon7台で追った.このPCT法を用いることにより皮膚マーカーの誤差を最小限に抑えることが出来,今まで正確に測定できなかった膝関節の内外旋運動をも表示出来るようになった.今回ジャンプの着地実験で膝関節が着地時,屈曲,外反と共に内旋し,しかも女子が有意に男子より大きく内旋することが明らかになったが,これは新しい知見でありACL損傷時に生じるMRI上のbone bruiseの画像とも一致するものである.第二の実験はACL損傷の予防としてのジャンプトレーニングによる介入実験である.大学女子バスケットボール選手8名を対象とした.ACL予防プログラムは先行研究を参考に,約20分間のジャンプおよびバランストレーニングを中心としたものを作成し,週3回,5週間にわたり実施した.前半3週間と後半2週間でトレーニング強度を上げ,着地動作の習得,バランス能力の向上を目的とした.対象者は片脚着地の計測をトレーニング前2回,5週間のトレーニング後1回の計3回行った.この種のトレーニングは世界各国で行われはじめACL損傷の予防プログラムとして有用なことは認められてきている.我々はその詳細を検討し,選手達がトレーニングの結果ハムストリングスを働かせて着地時により深い膝屈曲位をとるようになったことを証明しえた.
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