研究概要 |
高齢者における筋機能の低下は生活行動の低下のみならず、転倒などによる傷害から介護にいたる大きな要因となる。 本研究は高齢者の筋機能動態の特性を筋反応時間,EMDおよび筋出力から検討するとともに、それらのトレーナービリティを明らかにする目的で実施した。 対象者は若年者女性(18〜30歳)48名、高齢者女性(64〜85歳)34名とし、高齢者をコントロ-ル群(64〜85歳)15名、エクササイズ群(64〜83歳)19名にグルーピングした。 エクササイズ群にはハーフスクワットエクササイズを週3日の頻度で1年間実施した。 測定は刺激から筋放電発生までの時間PMT,筋放電発生から筋トルク発現までの時間EMD,TRT(PMT+EMD),膝伸展ピークトルク値(CON, ECC),脚伸展パワーであった。 以上の測定項目を若年者と高齢者の比較および、エクササイズ群,コントロール群のPre-Postから検討した結果、次のような知見を得た。 1.高齢者は筋反応時間、EMD、筋出力、パワーとも若年者より有意に低い特性を示した。 2.後期高齢者エクササイズ群のEMD(CON, ECCとも)はエクササイズ前後に有意な差が認められ、短縮していたが、前期高齢者とコントロール群には有意な差が得られなかった。 3.後期高齢者のEMDは若年者,前期高齢者と比較してECC下がCON下より長く、筋-腱複合体の弾性要素衰退が示唆された。 4.後期高齢者エクササイズ群は筋出力(ECC,CONピークトルク値)、脚伸展パワーが年間で有意に高くなっていた。前期高齢者エクササイズ群、コントロール群には年間で有意な差が認められなかった。 以上より、後期高齢者のハーフスクワットエクササイズはEMD,筋出力,パワーに改善、向上が見られ、トレーナービリティが伺われた。
|