研究概要 |
牛もも肉から調製したスープストックと、コラーゲン由来物質の溶出が多いと予測される鶏手羽先から調製したスープストックを用いて、ストック中のタンパク質の分析とコラーゲン由来物質量の測定を行なった。牛スープストックでは、SDS-PAGEパターンにおいて分子量30,000および28,000ダルトンのタンパク質が多く溶出しており、鶏スープストックでは、130,000〜35,000ダルトンの範囲に複数のタンパク質のバンドが見られた。鶏ストック中のこれらのバンドはウェスタンブロッティングにより119,000、79,000、57,000などのコラーゲン由来物質(ゼラチン)であることが認められた。これらのゼラチンバンドは加熱時間の増加に伴い、低分子化し加熱3時間のスープストックでは主に57,000、45,000、36,000ダルトンのバンド`が見られた。一方、タンパク質量の測定法としてビュレット法を用いて、ストック中のタンパク質/ペプチド量の測定を行なったが、牛血清アルブミンまたはゼラチンを検量標準物質とする場合で、その溶出量は大きく異なり、その溶出タンパク質のウェスタンブロッティングパターンから、牛ストックでは牛血清アルブミンを、鶏ストックではゼラチンを標準物質として算出することが妥当であることが示された。これらの条件により測定されたストック中のタンパク質/ペプチド量は、加熱2時間のストックで鶏ストックが牛ストックの約6倍量であった。ストック中のコラーゲン量をp-ジメチルアミノベンズアルデヒド法により測定したヒドロキシプロリン量より算出した結果、牛ストック(2時間加熱)では溶出タンパク質/ペプチドの約30%、鶏ストック(2時間加熱)では同じく66%がコラーゲンであることが分かった。なお、ストック中のコラーゲンの定量法として、現在、より迅速に測定を行なえるELISA法について検討中である。
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