研究概要 |
70歳以上の高齢者においては、入院患者の40%が血清アルブミン3.5g/dl未満の低栄養であることが報告されている。低栄養状態は、入院期間が長期化することにより、医療費を増加させる原因の1つである。 そこで、どのような症候が低栄養のリスクになるのかを徳島赤十字病院との共同研究で233名の患者の症候と血清アルブミン値の影響を検討した。その結果、10の症候で有意に血清アルブミンが低下していることがわかった。特に、1,下痢している患者は0.91g/dl低い2,嚥下障害患者は0.81g/dl低い3,食欲不振の患者は0.75g/dll低いことを報告した(日本病態栄養学会誌9 191・196 2006)。 この結果から低栄養の3大リスクの中で、病院で栄養管理する際に情報が少ないため病院間で提供している食事形態に大きな差がある嚥下障害患者の食事についてどのようにすべきかを検討した。 具体的には、1989年より17年間で108万食の嚥下食の提供実績のある聖隷三方原病院(静岡県)の嚥下食の物性を解析した。物性の評価には「かたさ」「付着性」「凝集性」の3因子で解析した。当該病院では、嚥下障害の程度に応じて5段階に分けた食事を提供しており、嚥下状態の悪い患者が摂取する段階1から状態が少し安定化した患者が摂取する段階3までは、均一な物性の食事が提供されており、この3つの段階の解析結果についてはすでに報告した(日本摂食・嚥下リハビリテーション学会誌10(3)239・248 2006)。例えば、「かたさ」においては、段階1では、2000〜7000N/m^2、段階2では1000〜10000N/m^2、段階3では、12000N/m^2に多くが分布していることがわかった。
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