研究概要 |
1.デジタル画像のスペクトル変換解析による簡易分光分析法の開発 デジタル画像から取得したRGB値を用いて可視スペクトルをシミュレーションする方法について,コンピューターグラフィックスの研究分野で提案されている三つの方法について,その簡易可視分光法としての実用性を比較検討した。種々の色素溶液のデジタル画像からシミュレーションした可視スペクトルと分光光度計を用いて測定した可視スペクトルの比較から,数種の基準スペクトルをRGB値の大小関係を考慮して重ね合わせる方法が,最も広い色の範囲で分光光度計により測定した可視スペクトルとよい対応を示すことを明らかにした。この方法を用いてデジタル画像のRGB値から可視スペクトルをシミュレーションするソフトウエアーを開発した。 2.デジタル簡易可視分光法を用いた化学実験教材の開発 酸塩基指示薬の解離定数の決定,過酸化水素の分解反応の追跡,およびPVCシート着色法によるベンゼンスルホン酸の定量分析実験に,本研究で開発したデジタル簡易可視分光法を適用し,教材開発研究と教育実践的研究を通じてその教材的有用性を明らかにした。また,BZ反応のデジタルビデオ画像のスペクトル変換解析により,本法を簡易時間分解可視分光法として利用することができることを示した。同時に,デジタルカメラを用いて撮影した顕微鏡写真を用いた顕微可視分光法の開発に取り組み,植物細胞中の葉緑素の可視スペクトルのシュミュレーションを行った。さらに,葉緑素の抽出液にブラックライトを照射し赤色蛍光のデジタル写真から蛍光スペクトルをシュミュレーションする方法を検討した。
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