研究概要 |
児童に印象深い校内生物資源である学校樹木を中心に,自然界での生物的循環の視点から理科授業の中に有効に取り入れていくための素材の特性を的確に活用できるカリキュラムの構築を試みた.このため,本プロジェクトでは4種の教材開発を行い,カリキュラム開発に向けた授業実践の計画に関して,以下のような成果を上げた. まず熊大附属学校・園の106種の樹木の情報をデータベース化するとともに,落葉樹については夏と冬の全体画像を充実させた.電子樹木図鑑では樹木の検索方法(「場所から」,「名前から」,「形質から」,「落ち葉から」,「花粉から」)を充実させ,また各学校独自の図鑑が作れるように,各学校の樹木種の全形画像があれば,パーツの共通部分は樹木データベースから移植して作成できるようにし,汎用性を高めた.2つ目は,落ち葉堆肥置き場での分解者を実感するためのバクテリア確認用の簡易プレート作製法を開発した.この方法と図鑑の併用により,「樹木葉の成長-樹木落ち葉(給食残滓)-落ち葉堆肥(生ゴミ堆肥)-分解者微生物」のサイクルを校内にある生物素材を利用して実感させることができる.また樹木データベースは,児童の校庭掃除なども含めた種々の活動でも活用できる.そこで理科を横断して校内生物資源との触れ合いを高めることができる教材として,電子アルバムを作成した.この電子アルバムは,音や映像のディジタル・コンテンツも取り扱える統合的アルバムであり,その作成作業は「ITリテラシーの育成」に大いに寄与すると考える. 上記の3種の教材を一連の理科カリキュラムの中に位置付け利用可能なものとするためには,授業の内容や展開に沿ったワークシートなどが必要となる.このためワークシートをパソコン上で使えるソフトウェアを開発した.またワークシート教材には多種多様な素材を取り入れることが可能となり,視覚効果を高めることができた.
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