研究概要 |
物理学e-Learning教材の制作にあたり,電子教材を用いた物理教育のあり方を探るため,教材電子化を実践している物理教員にメールでの調査を行った。その結果,対面授業と,実験などにより学生にリアルな体験をさせることとを教育の核としつつ,学習履歴管理・把握に役立つ学習管理システムを用いたe-Learningを,自宅学習での個別指導促進のために活用する,ブレンディド教育が共通的に模索されていることが知られた。そのための教材共有の必要性の指摘も多かった。そこで教科書や授業の理解を補強する内容で,種々の学習管理システムに共通的に適用でき,教員が独自に再編集しやすい構成の検討・開発を行った。その結果,図を多用し,シミュレーションの表示が可能で,意見収集フォームなどの付加的コンポーネントをモジュール化して装着することができ,また必要に応じて教材にSCORMトラッキングが装着可能な,Flashを用いた教材形式を考案した。作成教材分野は,基礎数理,力学,熱とエネルギー,振動と波動,電気と磁気の5分野である。各分野の小項目ごとに独立した教材を作成するとともに,各項目を内容の結びつきで視覚的に結合表示させた連結グラフマップを考案した。各項目の意味の結びつきを把握しながら学習を進めることができるので,自主的に自習を進める際にこのマップは役立つことが分かってきた。さらに,授業の予復習などに提供するドリル教材システムにおいて,同じドリルを正答率履歴に応じた日数間隔で分散的に再学習するようアドバイスする分散型反復学習支援システムを開発・運用した。その結果,学習者の反復学習が促進されるとともに,理解度の向上が見られた。この成果に対して私立大学情報教育協会の奨励賞を授与された。教材は公開して利用者の意見や指摘を収集するとともに,NPO法人科学芸術学際研究所のピア・レビューを受けて改善を続行している。
|