研究概要 |
本研究では,主に初等中等学校における学習活動との関係からみて,インターネットとの接続回線速度によりどの程度の学習ができるかを,インターネットからの情報取得時間という観点から定量的かつ実験的に明らかにすることを目的とした.その成果として,次のような結果を得た. コンピュータ教室における授業を想定し,児童・生徒がインターネットへ一斉にアクセスする状況におけるアクセス分布を実験的に明らかにした.27人の被験者による仮想授業実験により,アクセス分布はガンマ分布関数で非常に良く近似できることが明らかになった. 教育用コンテンツを扱うWebサイトとして,「Yahoo!きっず」に登録されているサイトを元に計344サイトを抽出し,データサイズを調査した.各サイトにおいて,トップページから2クリックまでのコンテンツのデータサイズ合計を調査した.その結果,一つのWebページのデータサイズの平均値は約96KByteであった. インターネットからの情報取得時間のシミュレーション実験を行い,レスポンス時間の平均値を,ガンマ分布の標準偏差,インターネットに接続する回線速度,アクセス数,転送データサイズとの関係とともに定量的に明らかにして等値線図の形にまとめた.その結果,1.5Mbps程度のインターネット接続速度があれば,教育用Webサイトを利用する場合は,レスポンス時間がそれほど問題にはならないということがわかった.ただし,高精細画像などデータサイズの大きいデータを取得する場合は,10Mbps程度つまり,高速ADSL程度の回線は必要である.
|