研究概要 |
最近接発達領域論に基づき子どもの学習活動について考察して思考の発達と知識獲得を促す知の交流のあり方を明らかにした。また,正統的周辺参加論に基づき学習と発達のダイナミズムを考察し,認識の基礎や追求を扱う教科学習および認識の総合を扱う総合的学習の単元レベルの授業設計について検討した。さらに,知の交流を行うためのコミュニケーション用サーバ機と学習情報蓄積のための学習情報用DBサーバ機から構成される協調学習環境システムの開発を行った。学習者がタグを付加、削除する活動と、クライアントマシンが学習情報を結合するなどの処理を行うメカニズムはHTMLとJavaScriptを用いた。DBサーバ機側にはFileMakerとWebCompanionを用いた。また,比較的柔軟な枠組をもつXMLを採用し、学習情報や学習履歴情報を表現する枠組や、SVGを利用した相互作用の可視化ツールについて検討と試作を行なった。相互作用の中での言語運用について振り返りを支援するように、話し合いで利用したメタ情報を抽出し、構造化表示にするようなツールについても考察を行なった。 これらの成果に基づいて授業計画を行った。具体的には,小学校の総合的な学習の時間,国語と算数,中学校の技術・家庭科と社会科地理について単元開発,協調学習環境システム開発を行った。それぞれの授業については,教科内容を子どもの認知に基づいたスキーマ構造によって教材化してワークシートと学習環境システムのインタフェースの開発などを行い,相互作用機能としてつなぎ言葉とメタ情報を組み込んでシステムを実装して授業実践を行った。 また,2年間の本研究期間中に行った授業実践について,授業実践記録およびこれに基づく授業分析などをデータベース化した。
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