研究概要 |
本研究の目的は,小学校等の教育現場においてWEB利用の動向を可視化し異常発見を支援するネットワーク管理ツールを構築することである.現在,小学校等におけるインターネット利用の大半はWEBの利用であり,外部へのアクセスの中に望ましくないものが潜んでいる可能性を否定できない.ネットワークの管理者は,個人のプライバシーに配慮しながら,自組織の利用状況を適切に把握しておくことが求められる.しかし,全ての学校に充分な技能を持ったネットワーク管理者が配置されているとか限らない.そこで,WEBの閲覧履歴を統計的に処理し,同時に閲覧履歴を可視化する方法を提案する.可視化された情報は、組織全体の閲覧動向を表したマップとなる.情報の可視化によって管理者は利用動向を直観的に理解可能となる.また,統計的に全体の傾向を扱うことで,プライバシーにも配慮することになる. 本研究では,ベクトル空間モデルの利用と,そのクラスタリングによる情報の可視化を提案する.よりよいマップを得るためには,特徴ベクトルの構成とその収集方法が重要である.そこで,ネットワークからの情報のキャプチャについて検討し,トラフィックをモニタリングするモジュールを作成した.ここから得られた情報をもとに,特徴ベクトルを作成する.この特徴ベクトルにTF・IDF等によって重みを付けることによって,特徴が際だつように調整する.こうして作成した特徴ベクトルをクラスタリングし,可視化する.可視化にはSOMを用いる.可視化された特徴マップからは,WEB利用者の閲覧傾向を俯瞰することができる. 本研究では,上記の支援モデルに基づくシステムを試作した.試作した管理ツールを幾つかの学校現場試用した結果,我々の提案に対して,一定の有効性を示す結果を得ることができた.
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