研究概要 |
本研究では,eラーニングのCMC環境における人間関係の構築と展開,特にそこで中心的な役割を担うパーソナリティ情報のコミュニケーションに注目した。このコミュニケーションをシステムにより支援することで,結果的にユーザが学習意欲を促進・持続できることを目指すのである。具体的には,PIAGETSを構成するモジュールについて,いくつか検討あるいは開発し,更にはPIAGETS用サーバーも構築した。また一方では,CMC環境において人間関係の有無が学習活動にどのように影響するのかを検証するために,人間関係が有る場合と無い場合の2つの状態を実験群と統制群に設定した比較実験と,被験者に対するアンケート用紙とインタビューによる調査を行った。実験・調査結果から,指導者と学習者が人間関係を構築している方が,構築していない場合と比較して,学習活動中の学習意欲が持続する可能性があることが明らかになった。更にはその後,本研究で開発したPIAGETSを構成するモジュールの一部改良を行い,改良したモジュールの評価等を行うために大学における教師と学習者の個別指導を想定した実証実験を行った。その結果,教師による顔文字の積極的な活用は,学習者による情意的な状態の情報発信を促すために必要であることが分かった。 なお,本研究の成果として,教育システム情報学会に平成19年3月2日に投稿した論文が,5月21日の条件付き採録の決定を経て,9月27日に採録の決定を受けた。ところが,その初校正紙が届けられたのが平成20年2月23日であり,初校正を済ませて学会に提出したのは3月3日である。よって,研究成果報告書の発行・提出は大幅に遅れたが,学会の査読を通過した論文(初校正紙)を掲載することができた。
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