研究概要 |
本課題は、日本語小論文を自動採点ならびに作文支援を行うシステムを試作し、その性能を定量的に評価することにある。試作システムの採点基準については、アメリカにおけるビジネススクール入学のための共通試験であるGMATで用いられている構造、組織、内容をほぼそのまま踏襲し、修辞、論理構成、内容の3つの観点から評価する。日本語小論文の自動採点システムは我が国では初の試みで、既に本研究代表者らが特許出願済みであることに加え、作文支援システムはさらにこれを一歩進めるものである。この分野における研究を格段に先行するものであると言える。 幸いなことに本システムについては、平成17年2月15日付け朝日新聞夕刊の1面トップにて紹介されたのを皮切りに、ASAhlパソコン(2005.4.15号「コンピュータピープル欄」)、ニッポン放送他、多くのメディアで取り上げられ、教育測定関連の研究者だけでなく広く一般にも認知されるようになった。Yahoo!インターネットガイド(2006年6月)では、「インターネットでできること300」の一つとして本システムのWebページが紹介された。 本課題では以下の各項について研究を行った。 (1)小論文の自動採点システムを試作し、Webで公開した。プログラムはCシェルスクリプト、jgawk, jsed, perl, Cで書かれ、全部で約1万行となった。応答時間は800から1,600字程度の小論文に対して1秒以内を達成した。 (2)採点の論拠となる各メトリクス指標の影響を統計的に評価し、システム性能の向上に努めた;また評価メトリクスそのものを精緻化した。すなわち、より詳細なメトリクス指標を採用、あるいは新規に考案した。 (3)評定だけでなく、診断情報を表示する作文支援機能を追加した。 (4)本システムを開発環境であるLinuxからWindowsへ移植し、ネットワークを介さないクローズドの環境でも動作するようにした。
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