研究概要 |
鹿児島県の北部琉球列島(大隅諸島,トカラ列島,奄美諸島)および鹿児島県本土において、外来種貝類と固有種貝類を対象として、以下の研究をおこなった。 I.島嶼固有の陸産貝類の分布状況と,生息現況,特に外来種の影響状況を調査 本研究では、数多くの非海産貝類の中で、前鰓亜綱の陸産貝類・淡水汽水産貝類、有肺類のオナジマイマイ科、淡水産の二枚貝類の固有種の生息現況調査、および、外来種の影響状況調査を詳細に行った。 II.外来種陸産貝類が固有種陸産貝類に与えている影響を,明らかにし,生態系に与えている影響を評価した。外来種を国外からの外来種と国内の域外外来種に分けた。北部琉球列島では国外外来種よりも域外外来種が多いことがわかった。 III.外来種陸産貝類集団の遺伝的解析を行い,固有種4種、外来種1種のDNA分析を行い、成果の一部は特許申請を行った。特許名称は「軟体動物の体液・粘液抽出物を用いる核酸と生菌細胞の分解方法」とし、軟体動物の粘液のDNA分解活性を利用した特許化を申請した。固有種陸産貝類として、ウスカワマイマイ、コハクオナジマイマイ、チャイロマイマイ、タメトモマイマイ、外来種陸産貝類としてオナジマイマイを材料としてDNA分析を行った。RAPDプライマー法を用いて、簡易的に個体群の遺伝特性を分析できる手法の確立を目指した実験を行った。個体群間遺伝子による区別は可能であることがわかった。 IV.固有種の中で、国外において外来種となっている種の国内における生活史を明らかにした。 日本固有種の中でウミニナ類などの汽水産貝類が国外で外来種となり、地域の固有生態系を脅かしている。このため、現生生息地での基礎生態の解明を行った。主に、フトヘナタリ、ヘナタリ、カワアイ、ウミニナの基本生活史の一部を解明した。
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