研究概要 |
平成16年に実際に緑化土嚢を様々な新しい工法で作成し,その後の経過を調査することによって,実際の工法としての応用についての検討を行った.その後,18年末にはこれまで継続して育成していた(土嚢壁,底面3m x 3m、高さ2m)、をすべて解体し,植皮実験を行った,植物の発育状況について確認を行った.又,新たに赤,青,黒,白,緑の色彩土嚢を作成し,それぞれに種子を混入したのち,土嚢壁を形成し,それぞれの色が発芽に及ぼす影響についても検討を行った. 1)さし木を用いた緑化ツツジ、アカメガシは一年後の生存率は80%近く,高い率での定着が確認された.これらの挿し木に関しての根の発達の度合いに関しては,どれも非常に貧弱であり,だいたい,土嚢一個分の中に収まる程度であった.これは丈夫の発育が10cm程度であることと呼応しており,上部の高さとほぼ同じ深さでの根の発育が認められた.又,保水剤を混入した土嚢と混入していない土嚢に関しては有意な差は認められなかった.最初の定着時には保水剤の効果があることは考えられるが,その後の成長には寄与しない可能性が示唆された. 2)シイ、クヌギの種子による緑化シイ、クヌギなどは日本の在来植生の代表種と考えられている。そのため、最近ではこれらの幼樹を植樹し、緑化することも多い。このため,これらの樹種での緑化手法が確立されることが重要であると考えられてきたが,土嚢の解体によって,さらに効果的に壁面を固定する能力があることが示された.特に,クヌギにおいては地上部が30cm程度の成長だったにもかかわらず,地下部は平均1mほどに成長しており,土嚢の連結も10個以上になっているものも認められた.クヌギを緑化土嚢壁に用いることはのり面の安定にも大きな効果があることが示された. 色彩土嚢による緑化 発芽がフィトクロームによって制御されていることはよく知られているが,実際にこれらの現象が応用されていることはほとんど無い.緑化においては緑色に着色することが多いが,実際には黒色土嚢が最も発芽を促進することが示された.
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