研究概要 |
秋田市で農業集落排水の高度処理に適した有用植物の選抜試験を行い,夏期にはセスバニア,飼料稲,イタリアンライグラス,秋期から冬期には水菜,野沢菜などが高い窒素,リン吸収機能を有することを明らかにした。また,植物の養分吸収機能,濾材の養分吸着機能および付着微生物の水質浄化機能を有効に活用できるバイオジオフィルター水路(BGF水路,幅0.6m,長さ6.0m,水深0.2m,4系列)を農業集落排水処理施設に設置し,農業集落排水二次処理水の高度処理試験を行った。養分吸着能の高いゼオライトを充填したBGF水路に飼料稲を植栽すると,1年目はゼオライトに大部分の養分が吸着され飼料稲の生長は著しく悪かったが,2年目になると飼料稲の生育が良くなり,リンの除去率も向上することが判明した。さらに,平均NH_4-N濃度33mg/Lの二次処理水を滞留時間約1.5日でBGF水路に供給すると,2年間は充填ゼオライトによりNH_4-Nをほぼ完全に除去できることを実証した。 BGF水路を小学生の環境教育に活用するため,新たに環境教育用BGF水路とビオトープ池を組み合わせた農業集落排水の高度処理システムを試作し,3系列のBGF水路にそれぞれ花き類,野菜類および生長速度の大きいセスバニアやパピルスなどの資源作物を植栽した。ビオトープ池には,周辺の農業用水路から採取したメダカやドジョウを入れ,その成長を観察したが,ヤゴも生息するようになり生物の多様性が維持できた。また,5月の各植物の植栽,生育調査,10月のパピルスの紙漉および発表会などにより,児童達の環境保全意識の高まりが確認でき,先生方からも好評であった。 これらの調査結果より,BGF水路を用いた農業集落排水の高度処理では,濾材の養分吸着機能と植栽植物の養分吸収特性等を勘案し,浄化目標水質等に合った濾材と植栽植物の適正組み合わせモデルを構築することが大切なことを明らかにした。
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