研究概要 |
本研究は,近未来のスーパークリーンディーゼルエンジンのための新型排気浄化システムの開発およびに基礎研究を行うものである。常温非熱・非平衡プラズマを利用することを特徴とする。「1.非平衡プラズマDPF再生」,「2.非平衡プラズマ脱着NOx還元」の研究開発を行い,以下の成果を得た。 1.非平衡プラズマDPF再生:ディーゼル微粒子フィルタ(Diesel Particulate Filter, DPF)に捕集された微粒子の非熱大気圧プラズマによる新規な燃焼再生方式を実証,最適化する。この方法では,低温プラズマで励起されたNO_2,オゾンや負イオンラジカルクラスタをDPFに注入し,ディーゼル微粒子を,常温付近で燃焼除去しようとするものである。小型ディーゼルエンジンを使用し,排ガス温度200℃付近での連続再生を行い,エネルギー効率を低減し,1Wh/m^3以下とすることに成功した。 2.非平衡プラズマ脱着NOx還元:ディーゼルエンジンの排気ガス中には,通常2〜10%程度の体積濃度の酸素が含まれている。このようなガスに,プラズマを印加するだけでは,燃焼ガス中に含まれるNOがNO_2等へ酸化されるだけで,NOx自体はほとんど減少せず,公害の処理にはならない。そこで酸素リッチな状態ではNOxを含む排ガスを一度吸着させ,その後,少量の窒素を注入するか,酸素量が少なくHC, COの多い状態ヘエンジン運転モードを切り替え,プラズマを印加してNOxを脱着・還元させ,同時にHC, COを酸化無害化する。実験室レベルで250ppmのNOxに対し,エネルギー効率22Wh/m3で85%以上のNOx除去に成功した。さらに小型ディーゼルエンジン(200cc)の排気全量を処理するシステムを試作試験し,動作実証を行うことができた。 3.非平衡プラズマ化学の数値シミュレーションを行い,排ガス処理のメカニズム(化学反応)の詳細解明を行った。
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