研究概要 |
本研究の目的は,沿岸海域(閉鎖性内湾)における環境保全および環境修復を見積もりため,海水・湖水,懸濁粒子,沈降粒子および堆積物を清水港と佐鳴湖から採取し検討を行った.港や湖へ河川から供給された排出物およびそれらの場所で生産された生物起源物質は,透明度を減少させたり,COD値を増加させたりする.Mn,Co,Pbなどのような微量元素は,かなり懸濁粒子に濃縮している.結果として, 懸濁粒子は生物起源粒子と同様な効果によって海水や湖水から微量元素を蓄積することができる.粒子が沈殿した後,微量元素は嫌気的条件下で海水や湖水へ回帰する.この過程は,特に閉鎖性海域において,水と堆積物の聞での化学物質の蓄積に重要な役割を果たしている.その結果,重金属元素濃度は相対的に高い.堆積物中のCuおよびZn濃度は,カナダの堆積物ガイドラインによって与えられた海洋堆積物の濃度(PEL)よりも高かった得られた高い濃度は,たぶん人間活動に由来する高濃度の有機物によっている.有機物の分離は,浚渫物質に対する修復技術として使用できるでしょう. 製鋼スラグの物理的・化学的な特徴を生かした海域の底質改善特性について,いくつかの実海域試験により検証を行った.塊状の製鋼スラグは,閉鎖性海域やカキ養殖場の底質の硫化物発生を抑制すること,および生物付着性に優れた人工浅場の潜堤材として機能することなどが実証された.また,粒状の製鋼スラグでは,付着藻類の付着基盤として,また栄養供給源として作用することを確認した.
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