研究概要 |
塩化タンタルを液体アンモニアに溶解させて得られる中間体の組成は[TaCl(NH_3)_4]Cl_4であることが推測された。原料保存および合成時に酸素源としての水を遮断して,中間体を真空中で焼成することによって,タンタル窒化物が得られる。タンタル酸窒化物は,窒化物の合成過程で適量の水を酸素源として添加し,融剤として塩化カリウムを用いて780℃以上で焼成することによって得られる。一方で融剤に塩化ナトリウム,臭化カリウム,および臭化ナトリウムに用いた場合には酸化物が混在する。 無溶媒エポキシ化反応に適する固体分散相特徴は,(1)固体分散相自身が固体酸化剤を分解しないこと,および(2)比表面面積が1m^2/g前後かつ粒子径が1ミクロン程度であることである。固体分散相として,既報のフルオロアパタイトおよびハイドロキシアパタイトの他に,二酸化ケイ素,酸化チタン,α酸化アルミニウム,およびフッ化カルシウムが適している。 液体アンモニアから合成した第5族窒化物および酸窒化物固体分散相は,これらが固体酸化剤を分解する傾向を有するため無溶媒エポキシ化反応には適さない。酸化チタンを液体アンモニアに浸漬後に真空焼成することで,一部窒化した施した固体分散相は,無溶媒エポキシ化反応における生成物収率が向上した。常温で固体であるオレフィン化合物は,少量の非ハロゲン系溶媒に溶解させて添加・分散させることによって,エポキシ化反応を進行させることができる。第5族窒化物および酸窒化物固体分散相は,シリカおよび活性炭素などの比表面積の大きな固体と組み合わせ,水素化反応に用いる固体分散相の補助材料として適している。
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