研究概要 |
ナノホーン作製用の中型アーク放電装置は放電部を石英管で被い,ナノホーン成長部を高温に保ち,かつ,ガスの流れを一様に保つように設計した.しかし,実験を重ねた結果,このような石英管の被いを設愛しなくても有効にナノホーン粒子が作製できる事がわかり,簡略化した装置構成で有効にナノホーンが作製できることを見いだした.当初,不活性ガスとしてアルゴンを用い,酸素濃度を細かく制御することにより,ナノホーン粒子作製に対する最適条件を見つける実験を行っていたが,最適な酸素濃度は存在するものの,その範囲は20%前後で幅広く存在するため,現在では,大気中で放電電流を適正値に設定することにより効率よく作製する方法を採用している.具体的には,放電電流を電極の断面積で割った放電電流密度を細かく制御することになる.試作した装置では,直径5mmの高純度炭素棒を用い,放電電流密度を5A/mm^2に設定したときに最も効率よくナノホーン粒子が作製できることを見出した.作製した試料の熱重量分析により,放電電流密度が最適値から低い方では非品質炭素の混入量が多くなり,高い方では大きなボール状のグラファイト(giant graphite bal; GGボール)が混入するようになる.また,作製量も最適放電電流の時が最も多く,40mg/分程度作製できる.作製量は最適放電電流値までは電流密度の増加とともに直線的に増加するが,最適放電電流値を超えると緩やかに減少する.透過型電子顕微鏡による形態観察により,得られたナノホーン粒子の直径は100nm以下のものが大部分であり,放電電流密度を上げると,GGボーリレの混入量は増えるが,個々のナノホーンが分離した孤立ナノホーン構造体が見られるようになることがわかった,GGボールは試料をエタノール中に分散し,遠心分離することにより取り除くことができるため,孤立ナノホーン構造体を新たな研究対象にすることを計画している.
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