研究概要 |
本研究課題には,下記の3つの研究項目が設定されていた.それぞれに関して成果概要を述べる. 1.数理計画分野における高速化アプローチに関する研究 近年提案されたIntegral Basis Methodの実装と効果検証が,本研究課題における最優先課題であった.解くことが困難な整数計画問題のインスタンスに対しては,計算時間の多くが最適性の検証に費やされる.したがって,これまでと異なったアプローチにより最適性検証が高速に行えるようになれば,ソルバー全体の高速化に寄与するためである.本研究課題において,整数計画問題の特殊ケースとして,二次割当問題のIntegral Basis Methodによる最適性検証を実装した.また,整数計画問題のIntegral Basis Methodによる最適性検証の実装と,その高速化のための連続緩和問題の適用,および変数の選択規則に関して研究を行った.いずれも,いまだに改善の余地はあるが,決定的に高速化に貢献する状況には至らなかった. 2.並列処理分野における高速化アプローチに関する研究 整数計画問題の解法である分枝限定法の応用として,パンケーキグラフの直径計算の並列化をPCクラスタにおけるCondor/MWにより実現した.本実装において開発した並列化手法は,整数計画問題ソルバーの並列化にも適用可能である. 3.MIP(Mixed Integer Problem)ソルバー・ボータルの設計 本研究期間内には,ソルバー・ポータルを完成させるには至らなかった.理由は,高速なMIPソルバーの実現が期間内に行えなかったことによる.ただし,最高速のMIPソルバーを開発するための方針に関しては,概ねまとまっている.研究期間は終了したが,現実に解きたい大規模な問題も多いので,今後も開発に取り組んで行きたい.
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