研究概要 |
無制約最適化問題および制約付き最適化問題を解くための数値解法について,以下の通り研究した.こうした研究成果は今後のソフトウェア開発に大いに貢献するものと思われる,なお研究成果の一部は日本OR学会,日本応用数理学会,日本数学会,数値解析シンポジウム,研究集会等で発表されるとともに,学術論文誌や研究報文集に掲載された. 1.大規模な無制約最小化問題に対する共役勾配法や記憶勾配法において,新しいアルゴリズムを構築しその大域的収束性を証明した.降下方向を生成し,かつ,大域的収束するための十分条件を示して具体的なパラメータの選び方を与えた.また,Zhangらが提案した修正セカント条件やFordらが提案した多段ステップセカント条件と組み合わせた共役勾配法を提案し,その大域的収束性を示した.さらに,多くの数値実験を行うことによって数値的な挙動を検証した. 2.大規模な無制約最小化問題を解くための記憶制限準ニュートン法を開発し,これを制約条件付き最小化問題に対する主双対内点法に組み込むことを試みた. 3.退化した最適化問題に対する主双対内点法の局所的2次収束性について研究した. 4.非線形2次錐計画問題や非線形半正定値計画問題に対する主双対内点法について研究した.主双対変数に関するメリット関数を提案して,直線探索法の枠組みで大域的収束性を証明した. 5.非線形最適化法の混合整数計画問題への適用の可能性も考慮して,そのための第一段階として往復輸送型配送スケジューリング問題に対するラグランジュ緩和法についても研究した. 6.無制約最小化問題に対する準ニュートン法において,修正セカント条件に基づくBroyden公式族の局所的超1次収束性を示した. 7.最急降下法の欠点を補うための研究として,近年,Barzilai-Borwein法が注目されている.我々は拡張Barzilai-Borwein法を提案し,2次目的関数に対する大域的収束性と局所的超1次収束性を示した.
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