研究概要 |
固定資産宅地評価モデルの構築および評価システムの構築を行った.従来から固定資産の土地価格評価に用いられてきた数量化理論I類に開する再考察を行い,重回帰分析に基づいた路線価式評価法を構築した.また,近年路線価評価に用いられて来たCox回帰分析も考慮し,土地価格を決定する要因を統計的に決定するための変数選択法に関する考察を行った.さらに欠損データの扱いと多変量解析による土地価格形成要因間の分析も行った. これらの分析を行うためのシステムを開発した.開発されたシステムは2種類であり,一つ目は不動産鑑定実務において日常的に用いられる表計算ソフトウェア上で実現されている,二つ目はWebベースのアプリケーションとなっている.詳細を下記に示す. (1)重回帰モデルによる路線価式の理論的考察:従来法である数量化理論1類は重回帰分析の特殊な場合として存在している.そこで,従来の数量化理論I類における手法を踏襲して,それを重回帰分析へと発展させた.これにより,数量化理論で各カテゴリー毎に設けていた制約を自然な形で内包したモデルを構築することが可能となった.さらに多変量解析を適用することで土地価格形成要因間の解析も行った. (2)Cox回帰分析による拡張:従来の方法を重回帰分析あるいはCox回帰分析へ発展させることにより,カテゴリー(説明変数)を減らすための変数増減法を利用することが可能となった.また,Cox回帰分析における欠損データの扱いとしてのEMアルゴリズムの開発を行った. (3)システムの開発:統計的手法に基づいた固定資産税路線価式評価法を不動産鑑定実務で日常的に用いられている表計算ソフトウェアで行うことができるシステムの開発を行った.また,Webベースのアーキテクチャを用いたアプリケーションの開発も行った.これによって,自治体が納税者へ説明する際の事務処理の簡素化,および現地調査から不動産評価へのすばやいフィードバックが可能となった.
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