研究概要 |
本研究では,広告メディアとしてはテレビ広告に次ぎ第二位のマス広告媒体である新聞広告に注目し,その出稿計画問題を解くに際しての意思決定を支援するシステムの開発を行った. ここでは,特殊な業界新聞などは扱わず,最初は,まず,中央4紙のみを扱い,次に44紙の地方紙も含むようにシステムを拡張した.新聞広告の最適出稿計画問題を自然な形で定式化すると,どの新聞のどの版の,さらには,どの面に広告を出すかという問題になる.ところが,この問題は,中央4紙のみを扱う場合においてさえ,また,どの紙面かを限定しない場合でさえ,複雑な制約条件がたくさんついてしまう.したがって、どの新聞のどの版のどの面に広告を出すかという意思決定問題は,数学的に解くことが非常に困難な数学モデルが出来上がってしまうことが判明した.しかしながら、その複雑な問題の定義域を共通部分のない定義域に分割し,各分割された定義域上では,制約条件は予算の制約条件の一つだけの、離散多値の非線形ナップザック問題として定式化できることに気づいた.一般に,離散多値の非線形ナップザック問題を厳密に解くのは非常に困難であることが知られている.しかしながら,今回は,研究分担者である仲川により開発されたHOPE(Hybrid Optimization Process Equipment)と呼ばれる解法ツール群を用いることにより,この問題のパレート最適解を高速に求めることができた.しかも、解かれた解は、厳密解である.この種のメディアプランニングの解法においては、近似解しか求められないというのが現状である中で、本研究において、厳密解が求められたことは、意義のあることである.たとえば、これまでの近似解が、実際のところ、どのくらい厳密解に近かったのかという検証をすることができる.
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