研究概要 |
化学物質の分類と表示の世界的統一システムである国連GHS勧告が世界的に2008年に導入されようとしているが,日本の化学物質管理法令とこの国連GKS勧告とは大幅に異なり,とくに国連GHS勧告に示されているラベル,絵表示については全く新しいものである。本研究では,国連GHS勧告のラベルの理解を促す教育方法についての基礎的研究を行うことを目的に,新たなラベル理解度試験を開発し,一般社会人および労働現場の化学物質取扱者を対象に,理解度実験を行った。その結果,現在の日本の化学物質関連法令の示す文字のラベル表示よりむしろ絵表示の方が容易に理解されること,国連GHS勧告のラベルのいくつかは理解が不充分であることが明らかになった。すなわち,「ボンベ」のラベル,「腐食性」のラベル,「健康影響」のラベルおよび「環境」のラベルの理解度が低く,また,自らが燃えやすい「炎」のラベルと他の物と混合することで燃える酸化性を示す「円上の炎1のラベルとの区別と,急性毒性を示す「どくろ」のラベルとおおよそ慢性毒性をしめす「健康影響」のラベルとの区分とが,不充分であった。それらの卓を踏まえた教育方法が必要であることが明らかとなった。
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