研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、真核生物の染色体分配を制御する因子の解析により、細胞がどのような機構で増殖、分化するかを分子レベルで解明することである。染色体分配の制御機構は非常に多くの遺伝子の関与の上に成り立っている。本研究では分裂期に機械的な因子として中心的役割を果たす微小管の関与する制御機構の解明に取り組んだ。微小管機能は分裂期だけに限定しても非常に多くの遺伝子が関与することがこれまでの研究から明らかにされてきた。そこで本研究ではとりわけ微小管を中心とした因子群が細胞周期に共役して染色体分配を制御する機構を分子レベルで解析することを試みた。本研究では微小管機能制御因子Dislの解析、ならびにランダムに分離された突然変異株ライブラリーを用いた微小管関連因子の変異の解析を行なった。Dislを用いた解析からはDis1とコンデンシンとの相互作用が見いだされ、染色体凝縮に微小官機能が関与している可能性を示唆している。また、DislとMCM複合体の相互作用は全く予期せぬ物であった。この相互作用が生物学的に意味のある物であれば、DNA複製開始機構と微小官機能の遺伝子同士のつながりという新たな局面が開けると期待される。突然変異珠ライブラリーの中には、上記の他にチューブリン遺伝子、ならびに関連遺伝子の変異が少なくとも4株見いだされた。見出された遺伝子はいずれも機能的に予想される結果であったが、これまでの報告と矛盾がない点、ならびにこれらの遺伝子の分子レベルのさらに詳細な機能解析を行なう際に良い材料となると期待される。今回用いた突然変異株群ライブラリーを用いた網羅的な解析は、予想される結果に加えて、全く予期しない結果も得られたことからアプローチとして非常に有効で、強力な方法であると考えられる。
すべて 2006 2004
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Current Biology 16・6
ページ: 1627-1635
Current Biology 16
Genes to Cells 9
ページ: 1069-1082
Genes to Cells. 9
Genes to Cells 11