配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
研究概要 |
糖ピラノース環の最安定配座は,二般的により多くの置換基がエカトリアル配向を有するイス型立体配座を取る。しかし,通常のイス型配座が反転し,アキシアル配向の置換基をより多く有する方のイス型立体配座で安定に存在することがある。ここでは,この様な立体配座を,それぞれ「エカトリアル・リッチな」あるいは,「アキシアル・リッチな」イス型配座と表現する。このような特異な立体配座を有する糖は,これまで偶発的に遭遇した報告ばかりであり,導入されたシリル基の数,位置,種類がまちまちで系統的な調査はなかった。一方,反転糖には,その特異な構造から従来にない性質が強く期待できる。そのため,ピラノースの中でも最も一般的なグルコースを題材とし,二つの嵩高いシリル基を導入して,その環立体配座を調査した。また,従来反転の報告が全くないシクロヘキサン環における配座反転も調査し,反転が可能であることを明らかにた。 次いで,環立体配座を制御した糖を用いた応用研究を行った。その中で,ねじれ型配座の糖供与体を用いた場合に,高いβ選択性を伴ったひグリコシル化反応が可能であることを見出した。 アキシアル・リッチな糖を含む天然物,コリラジンの全合成研究も並行させた。コリラジンは,hexahydroxydiphenoyl(HHDP)基による架橋構造のためグルコース部分が1C4配座になったタンニンである。糖の環配座反転,アトロブ,あるいはアノマー位での立体制御,従来例のない糖の3,6位架橋化など,狭いところに魅力的な課題が詰まっている分子である。
|