研究課題
基盤研究(C)
本研究は第二次世界大戦後の日本におけるアメリカ軍占領の意味を、ジェンダー、階級、人種の面から探ることを目的とする。具体的には、日本政府主導の下に設立されたアメリカ軍兵士相手の売春施設RAA(Recreation and Amusement Association)に焦点を当て、アメリカ兵と日本女性の性関係の実態を明らかにし、より一般的な問題としての軍隊と性の関係の理論的考察を行った。当初、これまでの研究ではほとんど行われてこなかった、当事者である一般のアメリカ軍元兵士(GI)の証言を中心に研究することを考えていたが、十分には証言を収集することが出来なかった。しかし、アメリカ合衆国公文書館所蔵の記録や日米の関係者やジャーナリストの回顧録などに加え、わずかではあるが研究期間中に収集できたGIの証言も資料として論文をまとめ、特に理論面から本テーマに関する国内外の研究に貢献することが出来たと思う。2005年6月、アメリカ合衆国で開かれたバークシャー女性史研究者会議で発表した論文"The Recreation and Amusement Association : An Interpretive Survey of Government-Sponsored Prostitution under the U.S. Occupation of Japan"は参加者から高い評価を得、某雑誌から出版の誘いも受けた。本研究で明らかになったことを一般化してまとめると、以下の点である。第一に、アメリカと日本の軍事的政治的な支配・被支配の関係、第二は、白人とアジア人という異人種間関係が持つ意味、第三は、家父長制のジェンダーが買売春を容認する上で果たした役割、第四は、日本社会の階級的差異およびアメリカ人の特に中産階級の「階級意識」を構成する価値観が売買春を生み出す上で果たす役割である。
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The Culture of the Pacific World and America-Multiculturalism, Indigenity, and Gender, (ed. Takita Yoshiko)(University of Tokyo Press)
太平洋世界の文化とアメリカ
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大原社会問題研究所雑誌 549
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埼玉大学紀要 40巻・1号
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Saitama University Review 40(1)
The Journal of Ohara Institute for Social Research 549