研究課題
基盤研究(C)
本研究では、画像が担う記号作用の中から、もっとも基本的な次の二つに焦点をおいて基礎的な分析を行った。(1)絵が可視的な世界のさまざまな要素を描写・再現するというrepresentationの働き。(2)絵がそれ自体としては目には見えない思想や感情を表現・表出するというexpressionの働き。(1)の分析との関連で、本研究では、絵画的な描写における虚構的な意識の役割という点に焦点を置いて検討を行った。論文「虚構概念の哲学的分析」は、虚構概念の哲学的な分析を主題とした著名な先行研究について包括的な検討を行い、現時点での展望を示したものである。また、論文「写真とメディア」では、虚構的な意識のあり方が、手製の絵の場合と写真の場合とでどのように異なるかという点に焦点をおいて、絵における虚構の役割についての分析の深化を図った。(2)の分析との関連では、本研究では分析哲学における一連の先行研究について批判的な検討を行った。その成果を、特に絵画作品による感情の表現という点に焦点を絞った概説論文の形で提示したのが、論文「絵画における感情の表現について」である。そこにおいて私が主張したもっとも基本的な論点は、《表現機能の本質と目されてきた感情の喚起・表出・再現という多様な要素のなかのどれか一つだけに求めようとする従来に諸理論にかわって、それらの要素をトータルに視野に入れたより包括的な理論を構築する必要がある》というものである。
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