研究課題/領域番号 |
16520061
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
思想史
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
伊藤 聡 茨城大学, 人文学部, 教授 (90344829)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2006年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 日本思想 / 中世神道 / 異端密教 / 立川流 / 神道灌頂 / 密教 |
研究概要 |
中世神道の特質は、仏教教理や中国思想を摂取、融合してその教理を成り立たせていることにある。本研究は、そのなかでも密教、特に立川流などの中世密教の異端思想との関わりを注目した。院政期以降顕著になった、密教の諸流への細分化傾向のなかより、「左道」「邪流」と後世に指弾される性愛主義的内容を含む「異端」説が勃興する。一方、時期を同じくして、密教の神解釈というべき両部神道が形成されていく。本研究では資料の収集と整理・分析を通じてその関係を明確化しようとした。調査地は、多くの中世神道資料を蔵する真福寺(名古屋市)、県立金沢文庫(横浜市)をはじめ、随心院(京都市)、猿投神社(豊田市)、善通寺(善通寺市)、檀王法林寺(京都市)・勧修寺(京都市)、国立公文書館(東京都)、妙法院(京都市)等であった。調査上、特に注目したのは、胎内五位・十月図説や神道灌頂などで、これらは、神道と密教的性愛思想の結びつきが顕著にあらわれるものであった。さらに、中世神道の所説は、その秘説的性格にも拘わらず、中世を通じて広範に拡がり、寺院内部や神道流派・修験道ばかりでなく、歌道・芸能・卜占・医学・兵法等の諸学・諸道の理論書や作法書のなかに広く導入された。従って、本研究における調査対象は、これらにも及ぶこととなり、諸分野の研究成果を有機的に結びつけることによって、より広い文化史的見地からの解明を目指すものとなった。特に和歌と神道との関係については、中世においては密教が介在することで、より複雑な展開を見せることを明らかにした。以上の個別的成果は、複数の研究発表や研究論文によって公表した。その結果、中世神道と密教の異端思想が、両者が踵を接して登場したのは単なる偶然ではなく、中世における密教の日本土着化という共通の傾向のなかから立ち現れたのであり、単に思想的傾向が似通っているというだけではなく、実際に、これらの思想を保持する人々も重なりあうことが明らかになった。
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