研究概要 |
本研究は,中国・隋時代(581-618A.D.)の紀年銘を有する主要な彫刻作品をできるだけ網羅的に調査し,その信頼しうる基礎データを収集することを目的としたものである. 2カ年計画の初年度には,国内においては東京芸術大学美術館,東京国立博物館,根津美術館,永青文庫,大阪市立美術館,山口県立萩美術館,また,海外においてはアメリカのデトロイト美術館,ミネアポリス美術館,メトロポリタン美術館,フィラデルフィア美術館,コロンビア大学,ブルックリン美術館,ボストン美術館,フォッグ美術館(サックラー美術館),フリアギャラリーおよびネルソン・アトキンス美術館において調査を実施した。2年目には,山東省に出かけ,山東省博物館,青州市博物館,諸城市博物館,博興県博物館,雲門山石窟,馳山石窟などにおいて調査を実施した.これらの調査においては、各作品や遺跡の調書を作成したほか、デジタルカメラによる撮影を行い、画像データの集積をはかった. 以上の調査に基づき,研究成果報告書では,紀年銘作品を中心にした隋時代の彫刻カタログを作成するとともに,「長安における隋様式の成立-菩薩像を中心に-」と題する論文を執筆した.カタログの構成は次の通りである.1.石造単独像(紀年銘仏像)2.石造単独像(紀年銘道教像)3.金銅仏(紀年銘作品)4.石造単独像(重要作品) なお,本研究では,石窟造像の研究を十分に行うことができなかった.これについては,引き続き今後の課題としていきたい.
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