研究課題
基盤研究(C)
目的:1980年代から、女性作家の存在意義を検証する研究が進み、17世紀から18世紀にかけての英国における、「コンダクト・ブック」と呼ばれる道徳・礼儀作法書が理想の女性像を規定するイデオロギー形成に多大な貢献をしたと指摘され、「ロマンス」や小説のヒロイン像への注目と同時に、女性教育を担っていたとしてその存在が注目されるに至った。しかし、従来日本では「コンダクト・ブック」自体の研究がなされず、近代英国小説の出現及び発展に対していかなる影響力を持ったか吟味されてこなかった。そこで本研究では、「コンダクト・ブック」が後の「ロマンス」や小説に及ぼした影響を考察し、その文学的意義の発見を目的とした。初年度:当時の理想の女性像を規定する上で、「コンダクト・ブック」が多大な役割を果たしたとする国外研究を支持するも、多くの通説とは異なり、描かれる理想の女性像が単一でないことを考察。次年度:庶民生活に浸透する「コンダクト・ブック」に対し、反コンダクト・ブック的読み物として密かに人気のあった1「ロマンス勺が、後の小説誕生の重要な鍵を握ることを考察。小説において理想の女性像から逸脱した女性を描くイ」ライザ・ヘイウッドのヒロイン形成の意義と、更には18世紀前半に真正の小説家と看倣されていたサミュエル・リチャードソンへの影響力を検証。最終年度:反コンダクト・ブック的女性像を描いたヘイウッドの「コンダクト・ブック」におけるヒロイン形成を検証。また、これまで文学的意義を否認されていた「コンダクト・ブック」が、小説の出現における影響力を持っていたのではないかという結論に至り、これを視野に入れてこそ、近代英国小説のヒロイン像を追うことが可能となるという確信により、文学的価値を見出した。
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Distributions and Challenges to Subnovels by Female Writers : Cases ofDavys, Hawood, Edgeworth, Owenson.
ページ: 35-65
敦賀短期大学紀要『敦賀論叢』 21号
ページ: 1-15
Tsuruga Ronso N0.21
40015408252
敦賀論叢(敦賀短期大学紀要) 第21号
十八世紀イギリス文学研究-躍動する言語表象- 第3号
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A Study of the Eighteenth-Century English Literature No.3
敦賀短期大学紀要『敦賀論叢』 20号
ページ: 33-48
40007378951
Tsuruga Ronso No.20
敦賀短期大学紀要『論叢』 第20号
ページ: 33-49