研究課題/領域番号 |
16520227
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
言語学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
池田 潤 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 助教授 (60288850)
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研究分担者 |
城生 伯太郎 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (40014857)
福盛 貴弘 大東文化大学, 外国学部, 講師 (00407644)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 現代ヘブライ語 / 音響音声学 / シュワー / プロソデイー / 介入母音 / 弱化 / 音韻体系 / 歴史的シュワー / プロソディー |
研究概要 |
本研究には次の2つの目的があった。(1)現代ヘブライ語におけるプロソディに対し、実験音声学的手法を用いて定量的根拠を与えること。(2)ヘブライ語学音韻論における従来からの諸説と、(1)で得られた定量的根拠とを対照し、諸説の妥当性を検証すること。 ヘブライ語話し言葉コーパスの研究チームの一員でもあるSh.Bolozky教授(マサチューセッツ大学)の協力も得て研究を進めた結果、ヘブライ語のシュワーについて多くのことが明らかとなった。なかでも特筆に価するのは次の3点である。 1.歴史的シュワーに対応する音声学的実体が明らかになった。持続時間長・フォルマント周波数・スペクトログラムの目視を通して歴史的シュワーは無音・e・a・超短母音1・超短母音2の5種類に分類される。歴史的シュワーに対応するeやaは、明瞭母音の/e, a/とは音響的に区別できる。歴史的シュワーに対する音声実現形は弱化していると考えられるが、これは音声学的アクセントに付随した弱化ではなく、別の要因によって弱化していると考えられる。 2.今から千年以上前に歴史的シュワーは「弱さ」というプロソディーを表示する字素として考案された。現代ヘブライ語では歴史的シュワーで表記される母音が脱プロソディー化したと考えられる。脱プロソディー化した母音が再びプロソディー化している例も見られる。したがって、プロソディー化はヘブライ語に内在的な指向性変化の1つだと考えることができる。 3.母音が存在するかどうかは、最終的には脳波実験などを用いた再現性の高い聴覚実験音声学的研究によって結論を出さなければならない。従って、本研究は、究極の実験音声学的課題である聴覚情報処理系の実態に迫るための予備的段階でしかない。すなわち、この物理的実態を踏まえて近い将来に聴覚実験音声学的研究を行うことが出来た暁に、ここで掲げた課題に対する明白な答えが見えてくるはずである。
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