研究課題
基盤研究(C)
現代標準フィンランド語では、主語、目的語を表示する格が3つあり、しかも3つの格は、いずれも主語と目的語の両方を表示することができる。現代フィンランド語の格表示は、通時的な変遷の結果成立したものであり、格の機能もまた通時的に変化してきたと考えられるので、フィンランド語における格表示と格の機能の通時的な変化を観察することは、共時態における格表示および格の機能の解明に資するところが大きい。本研究では、主に、「AがBに〜させる/〜することを許す」という意味を表す許可構文を取り上げ、その構文の成立の過程を通して、フィンランド語の文法機能を表示する格の用法と機能の変遷を考察した。研究に当たっては、ヘルシンキ大学人文学部フィンランド語フィンランド文学科のアーカイブ(Muoto-opin arkisto)やCSC(Finnish IT-centre for Science)のコーパス(Kielipankki(Word Bank))から資料を収集し利用した。許可構文は、不定詞を補部に取り、主要部動詞の主語と補部の不定詞の主語は異なっている。フィンランド語では、このような場合、不定詞の主語は通常主要部動詞の目的語として表されるが、この構文では主語として表される。したがって、この構文の格表示は、本研究のテーマである文法機能を表す格の用法の変遷を考えるに当たって、格好の材料を提供している。許可構文の格表示は一見特異に見えるが、この構文が成立するに至った過程を通時的にたどれば、合理的な説明が可能で、また、そのことを通して、文法機能を表示する格の機能についても、有意義な知見を得ることができる。本研究の成果は、4編の論文としてまとめた他、第22回スカンジナビア言語学会と第40回欧州言語学会において、それぞれ研究発表を行った。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件)
Nagoya University Journal of the School of Letters 4
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東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同プロジェクト研究活動報告書「言語基礎論の構築に向けて」
ページ: 71-92
Nagoya University Journal of the School of Letters 3
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Nagoya University Journal of the School of Letters 2
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Toward Foundations of Linguistic& Reports of the Research Project, Research Institute for Laguages and Cultures of Asia and Africa, Tokyo University of Foreign Studies 71, 92
Nagoya University Journal of the School of Letters 2(印刷中)