研究課題
基盤研究(C)
語形成のうち、既成の概念をもとに新たな概念形成をおこなう派生や複合において、どのようなメカニズムによって新造語の意味と統語的性質が決定されるのかという問題について、日英語間の対照および動詞、動名詞と形容詞の差異を明らかにした。まず、既存の動詞をもとに接辞化や動詞との複合により新たな動詞を形成するメカニズムについては、日英語間のみならず、日本語においても統語部門での形成と語彙部門での形成の間に様々な違いがあることを明らかにし、その成果は由本(2005)その他において公開した。次に、名詞から動詞を形成する語形成については、名詞の特質構造を基盤として導かれるLCSが形成される動詞の性質が決定されていると考え、その形式化を試みた。その成果は由本(2007a)において公表した。また、主要部形容詞が選択する項と結合した「名詞+形容詞」型の複合形容詞に関して、英語では、総合複合語一般の制約が適用される項構造を基盤とした語形成であるのに対し、日本語の場合はその制約が無効である本質的に異なる語形成メカニズムが用いられており、それは、結合する名詞の特質構造から新たに項を獲得することによる述語形成であることを由本(2007b)で示した。以上のように、本研究では、同じ事象や属性などに名づけをする場合でも、用いられる語形成は複数の原理体系のもとにいくつかのメカニズムによって起こる可能性を秘めており、それが個別言語、あるいは、範疇によって適宜選択されていることを明らかにしてきた。このことにより、影山(1993)などが主張するモジュール形態論の仮説が支持され、さらに精緻な理論として発展できる可能性が示されたと考える。
すべて 2008 2007 2006 2005 2004 その他
すべて 雑誌論文 (31件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (18件) 図書 (8件)
上智大学言語学会会報 22号
ページ: 99-118
レキシコンフォーラム 4号(印刷中)
Proceedings of Sophia University Linguistics Society 22
上智大学言語学会会報 第22号
言語文化共同研究プロジェクト2006 自然言語への理論的アプローチ
ページ: 91-100
Gengobunka Project 2006 : Theoretical Approaches to Natural Languages
言語文化共同研究プロジェクト2006:自然言語への理論的アプローチ
ひつじ書房 (印刷中)
言語文化共同研究プロジェクト2005 自然言語への理論的アプローチー-統語編-
ページ: 57-66
日本語文法 6巻2号
ページ: 153-161
Gengobunka Project 2004 : Theoretical Approaches to Natural Languages
Gengobunka Project 2005 ; Theoretical Approaches to Natural Languages
Journal of Japanese Grammar 6, 2
自然言語への理論的アプローチ-統語編-
日本語文法 6・2
英語青年 150巻12号
ページ: 11-14
日本語文法 5巻2号
ページ: 110-127
40007012753
言語文化共同研究プロジェクト2004 自然言語への理論的アプローチー-統語編-
The Rising Generation 150, 12
Journal of Japanese Grammar 5, 2
In Gendai Keitairon no Choryu, Oishi, T., Nishihara, T. and Toyoshima, Y(eds) 135-154,Kurosio Publishers
英語青年(研究社) 150・12
言語文化共同研究プロジェクト2003 自然言語への理論的アプローチ-統語編-
ページ: 53-60
日本語文法学会第5回大会発表論文集
ページ: 87-94
Gengobunka Project 2003 : Theoretical Approaches to Natural Languages
The Proceedings of the 5th Conference, Society ofJapanese Grammar
言語文化共同プロジェクト2003『自然言語への理論的アプローチ-統語編-』(大阪大学言語文化部)
Lexicon Forum 4 (in press)