配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
本研究は,中国語やアジア諸言語の同一地点の老年層・中年層・若年層の差異を記述し,そこに反映した音韻変化を帰納的に観察し,このような経験論的な根拠に基づいて音韻変化の方向性について実例を蓄積し,かつ理論的な概括を進めることを目的としている。殊に,これらの言語は声調をもつものが多く,声調の調値の通時的変化の実例も多く見出されることが期待された。 3年間の研究期間内に中国西南部および東南アジア、モンゴル等の10地点以上の現地調査を行い、さまざまな言語・方言の世代差に反映した通時的変化の実例を得ることができた。また、その過程においてこれまでに発表されている世代差に関する記述も相当数収集することができた。 記述データは少なからず蓄積し得たが、公刊できたのはまだその一部分に過ぎない。しかし・その中でもすでにこれまでの思弁的考察とは異なる経験論的裏づけのある音韻変化の実例を相当数跡付けることができ、かなり一般性の高い音韻変化の方向性に関する法則性を明らかにすることための基礎を与えることができた。 その一例を挙げると、2006年8月に中国雲南省シーサンパンナにおいて記述した漢語の音韻の世代差の調査結果は以下の如くである。老年層から若年層に到るまでに殊に声調に関して大きな変化が進行中であることが認められ,声調調値のみならず,phonation typeにおいても老年の話者がbreathy voiceと伴って発音する声調を中年・若年層はcreaky voiceないしglottal stopを伴って発音するという興味深い現象を記述することができた。
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