研究概要 |
1.研究目的:初期言語の韻律面の分析を行い、先に得られた音韻面と合わせ検討し、初期言語産生の特徴の一部を明らかにした。 2.分析:分析項目は、当初の計画を一部変更した。対象とした資料でのアクセント型分析は、期待した結果が得られないと判断し、音調型の分析とした。従って、2歳から6歳までのアクセント獲得過程までを対象とした、今回収集したデータは使用せず、新たに、音節の重さ・長さの視点から、音節量分析を加えて、初期言語期の特徴に焦点を絞った。 3.結果: (1)音節量 (1)HL,HH>LHは、母児ともに一致 (2)現代日本語の約25%が重音節であるとの報告とは異なり、軽音節と重音節の比は1:1であった。 (3)子どもに対する母親のことば(マザリーズ)の重音節の頻度は、一般成人の20%多く、児の音節量に接近していた。 (4)母児語内音節量一致度は、初期言語後期(30語段階移行)に増加し、IV期(50語~60語段階)には44.9%に達した。 (2)音調型(2音節2モーラ語) (1)高頻度順位は、高低(頭高)型(40.5%)、低高(尾高)型(39.2%)、平板型(20.3%)で、平板型が最もすくなかった。今回の資料は、音響分析可能なすべての発話で、天野ら(1999)の名詞型のみとは異なり、品詞分類および語用機能の分類はしなかった。結果は、天野らと同様頭高型が高頻度であったが、加えて初期言語では尾高型も同じように高頻度であった点が特徴であった。 (2)個別の獲得過程から、はじめは1つの型への偏好があり、IV期になり2つの型に拡大するという方略が確認された。 4.国内外の関連する研究の中での位置づけ:今回の結果は、学術誌には未発表のものであるため、未発表・未分析項目を加えて発表の機会をつくりたい。
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