研究概要 |
16年度は本研究のプロトタイプの作成に着手した。前半に、教材のプロトタイプを作成、読解力・単語力を測定するためのテスト開発を行った。また、学習者管理情報、単語検索過程情報、読解・単語力テスト成績をデータベースに記録・保存するためのプログラミングを行った。Linux, Apache, PHP, PostgreSQL, DBMS等をもとに、サーバーを構築し、膨大な量のデータを記録・保存・分析できるようにした。ソフト開発を重点的に行い、サーバー環境(HTTP用・DB用)を整え、UPS電源装置、バックアップメディアなどを揃えた。後半は、プロトタイプの試運転、並びに予備実験を行った。学生にソフトを試用してもらい、プロトタイプへのフィードバックを得た。 17年度は、前半に予備実験のデータや学習者からのフィードバックをもとに、プロトタイプのプログラムの修正・改善を行い、プログラム運営の面からも検討を重ね、セキュリティー対策を重視しながらも教師が手軽にこのプログラムを活用できる方法について考えた。そのひとつの方法として、Moodleへのモジュール化の可能性について模索している。読解問題を追加し、付随的語彙学習の過程を検証するためのオンラインテスト作りを行い、改良されたプログラムを使用して再実験を行った。 今回の研究成果を3者の立場からアンケート調査や面接、実験データをもとに要約してみたい。まず学習者にとり、このプログラムは、クリック一つで辞書検索ができ、読解活動をスムーズにし、読むことへの関心を促進することが判明した。教師にとって、カット&ペーストにより容易に読解教材を作成できることは大きな魅力であり、プログラムの早期実現化が望まれている。研究者にとって、単語検索記録を収集・分析は、付随的な語彙学習の実態を把握のみならず、読解過程の解明にも貴重な情報源であることが判明した。さらなる検証が望まれる。
|