研究課題/領域番号 |
16520425
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
東洋史
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
永田 雄三 明治大学, 文学部, 教授 (20014508)
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研究分担者 |
江川 ひかり 立命館大学, 文学部, 教授 (70319490)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2006年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2005年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 正劇 / ヴァラエティ / カラギョズ / オルタオユヌ / イスタンブル / コメディ / アルメニア人 / トルコ / 演劇 / ポスター / 近代化 / ヨーロッパ / 西欧化 / オスマン帝国 |
研究概要 |
トルコにおける西洋演劇の受容は、まずヨーロッパ風の近代的劇場を建設することにはじまったが、それは、当時のヨーロッパに流行していたアールヌーボー建築を中心としたものであった。また、観劇に伴う人の移動を容易にするための交通手段の発達、西洋風のファッションの移入などの多様な面においてこの町の「近代化」に大きく寄与した。 一方、演劇史としての側面から西洋演劇受容の諸相を検討した結果、西洋から受容されたのは、従来の研究で強調されているような芸術的価値の高い「シェークスピア劇」に代表される「正劇」だけではなく、むしろ当時ヨーロッパで流行していたコメディ、バレエ、カント、ヴォードヴィル、オペラ、オペレッタ、などから構成される、いわゆる「ヴァラエティ」演劇を、最初はヨーロッパの芸人を招待することによって、そしてのちにはイスタンブル在住のアルメニア人たちが演じることによって、積極的に導入した。本研究の成果によれば、トルコの西洋演劇受容において最も成功したのは、「正劇」分野よりもむしろ「ヴァラエティ」部門であったと考えられるが、それは「ヴァラエティ」部門が、喜劇性と音楽性の豊かなトルコの伝統演劇(カラギョズ、オルタオユヌ)と共鳴するところがあったからである。つまり、西洋演劇の受容は、伝統演劇を衰退させるよりは、むしろ活性化させることにつながったといえる。このことは、当時のイスタンブルがパリ、ロンドン、ウィーンなどとも共通する「演劇都市」としての性格を持っていたことを示している。そのため、今後西洋演劇受容の局面を、たとえば、ヴェネツィアのコメディア・デラルテのような西洋における「即興喜劇」と似た性格を持つトルコの伝統演劇「カラギョズ」および「オルタオユヌ」との比較を試みることが、本研究の成果をより発展的に展開するために必要である。
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