研究課題
基盤研究(C)
本研究は、19世紀末から20世紀前半にかけてプロテスタント・キリスト教宣教師が中国のムスリムに対して行った宣教活動の実態とともに、宣教対象となったムスリムがキリスト教との出会いをきっかけとしてどのような社会変革、宗教改革に乗り出したのか、について明らかにした。対ムスリム宣教は中国内地会を始めとする原理主義傾向がある宣教団が中心となって、中国イスラーム研究に着手することから始まった。20世紀初の世界宣教運動の流れにのって、対中国ムスリム布教は、最も可能性のある宣教運動とみなされた。その傾向は民国成立以降、日中戦争を経て、人民共和国成立まで続いた。これを「挑戦」と受け止めた中国ムスリム側とキリスト教側に緊張が走ったが、致命的な紛争には至らなかった。これは、双方に歩み寄りを重視する理性をもったものがいたことが大きい。ムスリム側は、組織的な論駁をするとともに、共同利益を守るための社団作りを行った。同時に、キリスト教の神学体系、組織力、学校建設と教育方法、宣伝方法、近代化路線などが模倣され、遂行された。さらには、当時の国民国家建設のうねりと、反帝国主義運動の流れに乗って、エジプトのアズハル大学で教えられた内容がイスラームの正統的解釈として中国にもたらされ、新設の中阿(中国語とアラビア語)兼学の宗教学校で教授されることになった。それは国民国家の中で、エスニシティとしての「回」の政治的権利獲得運動にもつながっていく。しかし、その一方で、明以降の主流的解釈であった、存在一性論的イスラーム理解が「時代遅れ」「複雑すぎ」「非正統」との烙印を押され、宗教指導者育成システム、教義内容の中心から滑り落ちていくことにつながった。現在の中国イスラームもまたこの民国時代のイスラーム改革時の影響を多大に受けていることが明らかとなった。
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