研究課題/領域番号 |
16520491
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人文地理学
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研究機関 | 国学院大学 |
研究代表者 |
田原 裕子 国学院大学, 経済学部, 助教授 (40282511)
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研究分担者 |
荒井 良雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50134408)
岡本 耕平 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (90201988)
林 和生 國學院大學, 文学部, 教授 (30135488)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2004年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 福祉国家 / 中国都市 / 高齢者 / 福祉レジーム / 福祉の多元化 / 外出活動 / 活動空間 / 高齢人口移動 / 中国 / 都市 / 高齢者福祉 / 居住地移動 / 上海市 / 高齢者介護 / 高齢者の居住地移動 / 上海 |
研究概要 |
前年度の調査、分析を踏まえ、今年度は以下のような研究をおこなった。 第一に、福祉国家の日中比較に関して、昨年度に引き続き、日本と中国の福祉レジームの類似点と相違点についての文献調査を実施した。その結果、日中両国は高齢者介護における家族主義を共有することが明らかになった。だが、中国では息子やお手伝いさんが家庭介護の大きな役割を担っている点で日本とは異なる。また、福祉サービスの運営主体の分析と上海市における現地調査から、弾力的な助成政策を通じて、民間組織や地域組織が福祉供給に参入することで(福祉の多元化)、サービスの整備が進んでいる状況が明らかになった。このような中国都市における福祉は、流動人口の低賃金労働を前提とする点で自由主義レジームの要素を多分に有すると位置づけられる。 第二に、柴が1995年に実施した大連市の生活活動調査のデータを用いて、高齢者の活動時間と外出活動に関して分析し、日中比較を試みた。その結果、高齢期以前とは時間・空間の利用の仕方が大きく変化する傾向の強い日本の高齢者に比べ、中国都市の高齢者は自宅近くの比較的狭い範囲に収まる余暇活動空間を非高齢者と共有していること、一方で、女性の就業率が高い中国では、現役世代には確認されなかったジェンダーによる生活活動・生活活動が、高齢期には現われることも明らかになった。 第三に、上海市の高齢者の日常活動(購買、受療、余暇)とその活動空間に関して、高齢者の属性、利用する交通手段、活動に費やす費用、居住地区・環境による違いなどに注目し、総合的に描き出した。 第四に、再開発が進む上海市について、上海市2000人口普査資料の分析により、全年齢層による都市内移動については、その大部分が中心部から郊外への移動であること、高齢者の移動理由については、都市計画による転居・引越しが2/3を占めることが明らかになった。また、市内の5地区で高齢者に対するアンケート調査を実施し、その地域的パターンを分析した結果、高齢者においては、大半が地域内の移動であり,全年齢層のように離心的な移動が卓越するわけではないことが明らかになった。 以上の研究を通じて、経済成長が中国都市高齢者の空間的分布、都市空間の利用、福祉供給の空間性に及ぼす影響の一端が明らかになった。
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