研究概要 |
私は平成16,17,18年度科学研究費基盤研究(C)(研究課題「ドイツ中世国制史・法制史における城塞支配権ないしシャテルニーの研究」)を受け、ドイツの封建制社会第二期についてフランス型のシャテルニーが存在するのではないかという想定に基づき、中部ライン河流域ないしモーゼル河流域に位置する13の城塞(モンクレール、レムベルク、ブリースカステル、フーノルシュタイン、ベルンカステル、トライス、カウプ、ファルケンシュタイン、ミュンツェンベルグ、アッセンハイム、ドライアイヒェンハイン、ケーニヒシュタイン、バーベンハウゼン)を検討対象として取り上げた。そしてそれらが、城塞周囲の支配領域を表現する用語(castellania, chastelerie/chastelerie, terra/terre, dominium, bannus, bannus et districtus et omnia pertinentia, bannus et appenditia et appenditia, iudicia, iurisdictiones, aduocatia, comitia, appendicia/appertenances等)の点で、かつ城主の支配権の具体的な内容(荘園領主権、軍事罰令権、裁判権、保護権力、森林・牧場・河川利用権)の点でも、フランスのシャテルニーとほぼ同質的なものであることを明らかにした(拙稿「ドイツ封建社会における城塞とシャテルニー-中部ライン領域を例として-」、小山貞夫先生古稀記念論集刊行会編『西洋法制史学の現在 小山貞夫先生古稀記念論集』(創文社)、2006年、所収)。 類似の研究結果は、同じ中部ライン河流域のその他の城塞、つまりマンダーシャイトの二つの城塞(上手の城塞と下手の城塞)及びケルペン城塞についても明らかにすることができた(拙稿「ドイツ封建社会における城塞とシャテルニー--中部ライン領域・マンダーシャイトの二つの城塞とケルペン城塞の例--」、『金沢法学』、49巻2号、2007年)。
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