研究課題
基盤研究(C)
冷戦終結以降、武力行使の単独主義という現象が認められる。1999年のユーゴ空爆では、人道的干渉が、2001年のアフガニスタン攻撃では、対テロ戦争が、2003年のイラク戦争では、大量破壊兵器の保持に対する武力が行われた。新現代正戦論とも呼ぶべき理論が提出されてきているのである。その代表的な理論の一つは、「人間の安全保障」である。この概念は、国家安全保障と対立する概念としても機能するが、人権侵害を行っている国家あるいは人権侵害を止めることができない国家、いわゆる破綻国家に対しては、武力でもって介入することを擁護する理論となりうる。人道的干渉を積極的に認める理論となりうるのである。とりわけカナダが主張する「保護責任」は、国際社会の責任として介入を認める。このように、冷戦以降の国際社会の構造を反映して新たな現代正戦論と呼ぶべき理論が登場してきているのである。しかし、個別国家が武力を行使することが許される唯一の例外は、自衛権である。自衛権の要件を満たさない武力行使は、国連憲章上違法と判断されなければならない。アフガニスタン攻撃をみても、自衛権で正当化がなされている。問題は武力攻撃の発生という要件である。テロリストの攻撃を武力攻撃の発生とみなすことができるかどうか。破綻国家に対する自衛権行使の場合、テロリストの攻撃に国家が「実質的関与」を行っているかどうかが重要である。しかしただテロリストをかくまっているだけでは、「実質的関与」という要件を満たすものとは考えられないのである。
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すべて 雑誌論文 (11件) 図書 (4件)
21世紀国際法の課題 (浅田正彦編)(有信堂)
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人間の安全保障:世界危機への挑戦(佐藤誠, 安藤次男編)
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