研究概要 |
本研究の目的は,憲法上及び刑事手続法上枢要な基本権とされてきながら,その存在理由や射程について本格的な検討・解明がなされてはいない黙秘権(自己負罪拒否特権)について,歴史的沿革や諸外国での議論を踏まえつつ,理論的分析を加えることにより,根本に立ち返った再検討を行い,法解釈論・立法論の両面にわたり,それに関係するさまざまな問題点の解明につなげようとするところにあるが,平成16年度において,諸外国(特にアメリカ,イギリス,ドイツ及びフランス)の法制とその問題状況に関する資料文献を幅広く収集し,整理・分析し,同時に,黙秘権(自己負罪拒否特権)の歴史的発展の過程を,最新の文献を手がかりに綿密に辿る作業を指導させるとともに,研究代表者および分担者全員で討議を重ね,問題点を抽出・確認した。次いで平成17年魔においては,それらの作業を継続・発展させるとともに,研究代表者および各分担者において,それらの作業の成果をふまえつつ,共同または分担して,上記問題点に理論的分析を加え,その解決の方向を模索した。対象とする問題領域は奥が深く,かつ広範な広がりを持つものであるため,なお研究は道半ばであるが,一応の成果を得た部分については,研究代表者ないし各分担者において,順次,著書あるいは論文の中で公表してきた。前途はなお遼遠ではあるが,これらの作業を積み重ねていけば,やがては必ず,この問題領域の全体的解明につながることは間違いないものと思われる。
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