研究課題
基盤研究(C)
1.本研究の課題は、主にドイツ法と日本法の比較研究という手法を用いて、高齢化社会の下での財産承継の法的な手段を検討することであった。かつ、その際に、遺産承継の前倒しという視点から、生前処分も含めた財産移転と死因(後)処分との対比から問題を検討することであった。そういった観点からは、生前処分と死因処分の可能性(以下の、2.)、(将来の)被相続人の処分の自由を制限する遺留分に関する検討(3.)、および、そういった問題の生じる背景の事情の検討(4.)が中心的なテーマとなる。2.特に、日本法と対比してのドイツ法の予防法学も含めた特徴は、一方で信託制度を有しないにも関わらず、民法典が信託的な財産移転のための手段を用意し、かつ、予防法学が発展している点にある。かつ、生前処分、死因処分を併せた遺産承継の手段の多様な発展であった。以上の傾向に即して問題を考えるなら、信託制度の活用と発展が日本法でも要請されることになる。3.このようなドイツ法の下では、遺留分の回避とその存在論が多く論じられることになる。ただし、現時点の評価は、法定相続(とそれに基礎を置く遺留分)は、社会の最少単位である家族の結合を保障しており、重要な役割を果たしており、これを単純に改廃するわけにはいかないというものであった。4.ただし、先に見た相続慣行の方向性の背景は、(a)配偶者相続権の強化、(b)企業承継の特定相続化、(c)対価的相続であり、(a)(c)は、職業引退後の生活が長期化する高齢社会を背景としている。(b)の要請が正面に出てくるのも、相続年齢の高齢化、遺族の扶養という相続制度の目的の後退の副産物であろう。
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