研究課題/領域番号 |
16530060
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
民事法学
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研究機関 | 獨協大学 |
研究代表者 |
常岡 史子 獨協大学, 法学部, 教授 (50299145)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2005年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 民法 / 家事審判法 / 人事訴訟法 / 離婚 / 親権 / 監護権 / 面接交渉 / ドイツ / 人事訴訟 |
研究概要 |
本研究は、「子の監護事件」を対象として、日本とドイツの実体・手続法規範および家庭裁判所の実務を比較考察し、わが国における子の監護処置の統合的解決の可能性とそこでの法的判断基準確立について提言しようとするものである。子の監護事件の指針について、わが国の民法は、「子の利益」(766条、819条)という包括的枠組みを置くが、その具体的な内容や判断基準は調停・審判を中心とする家庭裁判所の実務に委ねられてきた。そこでは、諸外国特にアメリカにおける心理学的・社会学的成果に基づく意思の尊重、他方の親との面接交渉へ寛容性等の基準が集積されているが、これらの指針の実務への導入過程は必ずしも統一的なものではなかったといえる。また、わが国では、子の監護事件を構成する1.離婚時の親権者・監護者指定、2.離婚後の親権者・監護者変更、3.子の引渡し請求、4.面接交渉の各事件が、項目ごとに独立の問題として扱われており、法律の規定上も調停・審判での事件処理においても、1から4の場面を子の監護に関する一連の事柄として相互連関的にとらえるべきことが明確には意識されてこなかったように思われる。そして、「子の監護事件」紛争の根底には離婚による単独親権の必須性があるものの、問題の核心は、むしろ離婚後の単独親権へ移行と親子間の扶養・養育関係との法的接合性の不備にある。本研究は、わが国への示唆の抽出を目的として、1990年代に親子法の抜本的改革を実現し約10年を経たドイツの法制度に照準をあてたものであるが、そこに見出される「子の監護事件」の統合的解決実現を旨とする家庭裁判所とユーゲント・アムトの連携と、それを支える法基盤として、精緻さを備えつつ円滑な運用のための柔軟性をねらいとした実体法・手続法の一体的な運用は、離婚に伴う子の監護という共通の課題解決について、わが国についても重要な方向性を示唆するものといえる。
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