研究課題/領域番号 |
16530069
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
新領域法学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
濱田 純一 東京大学, 大学院情報学環, 教授 (20114613)
|
研究分担者 |
右崎 正博 獨協大学, 法学部, 教授 (10112492)
服部 孝章 立教大学, 社会学部, 教授 (80138627)
山口 いつ子 東京大学, 大学院情報学環, 准教授 (00262139)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2006
|
研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
|
配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2006年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
|
キーワード | ソフトロー / マスメディア / 人権救済 / 表現の自由 / 報道の自由 / 名誉 / プライバシー / 自主規制 / 第三者機関 / 苦情処理 |
研究概要 |
比較制度的な研究を通じて明らかになったのは、マスメディアによる人権侵害の救済システムがソフトロー的な性格をもち、それによって適切に機能している部分と限界が存在することである。また、ソフトローとしての機能する条件についてもいくつかの軸が見えてきた。 すなわち、まず第一に、イギリスや韓国等において、苦情処理機関が行った仲裁や裁定の措置が、報道機関によって一般によく遵守されていることは注目に値する。この背景には、もし自主規制がうまくいかない場合の規制立法に対する警戒もあるが、報道機関が自己規律に対する意識が明確にあることの反映でもあり、それがこの分野でのソフトローを機能させる条件となっていると見ることが出来る。それと同時に、とくにイギリスで指摘される、和解的な感覚の社会的普及も、ソフトローを機能させる上で重要なファクターとなりうることが示唆されている。 第二は、苦情処理機関において適用されるルールには、法規制と重なる内容と、法では規制されていない内容の双方が含まれていることである。この後者の観点から言えば、法規制よりも幅広い対象について、柔軟な調整をソフトローが行いうることを意味する。 第三に、上記の前者の観点からすれば、ソフトローは法と同じ対象を規律するため一見リダンダントに見えるが、内容は同じであっても、例えば迅速な処理や軽微な費用など、執行のコストや効果において独自の意味をソフトローが持ちうることがあることを、メディアの救済制度の経験は示唆する。 以上のような検討を通じ、マスメディアによる人権侵害の救済システムを素材として、ソフトローが成立・機能しうる条件、またソフトローが一般の法に比して有する固有の意義の一端が示され、人権侵害の救済システムの研究とともに、ソフトローの研究に資する成果が得られた。
|