研究課題/領域番号 |
16530083
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
中川 政樹 島根大学, 教育学部, 教授 (80032598)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2006年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2005年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2004年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | ジェンティーレ / イタリア / 理想主義 / ファシズム / クローチェ |
研究概要 |
本報告は、平成16年度〜平成18年度の研究成果を報告するものである。 本研究では、19世紀後半からファシズム体制の崩壊にいたる過程を理想主義の形成過程と対比させながら、クローチェとジェンティーレの哲学や歴史理論の理論的意味と政治との関わり、そして、ファシズムに対する両者の対立の理論的解明をおこなった。 周知のように、ベネデット・クローチェやジョヴァンニ・ジェンティーレに代表されるイタリア理想主義哲学は、20世紀初頭のイタリア文化のあらゆる分野に圧倒的な支配力を行使した。とりわけ、クローチェは芸術・文芸・歴史の分野で、また、ジェンティーレは哲学・教育の分野で、後世に高い評価を与えられた優れた業績を残した。さらに、両者は、19世紀末から20世紀前半のヨーロッパにおける政治社会の変動の中で、「やむえず」あるいは「好んで」政治に関与することになり、政治的にも大きな役割をはたしたが、ファシズムに対する両者の姿勢は対照的であった。すなわち、クローチェは当初第一次大戦後の社会的混乱を鎮め、秩序を回復するためにファシズムを容認したが、体制の確立とともに自由主義の立場からファシズムに反対する。他方、ジェンティーレは、ファシズムの台頭からパルチザンに暗殺されるまで一貫してファシズムの熱烈な支持者として行動した。イタリア理想主義という思想的立場から協力者として活動ながら、最終的に敵対的な陣営に属することになった両者の政治的立場の違いは、それぞれの理論の発展のなかに説明を見出すことができる。研究の詳細は、研究成果報告書(冊子)において示したように、クローチェの哲学的理論構築には、ジェンティーレの影響を強く受けたことが伺える。本研究では、この点についてその詳細を検討し、ファシズム前の彼らの理論的差異とその拡大が、両者を反ファシズムと親ファシズムとの相対立する立場を取らせることになった事情を明らかにした。
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