研究課題/領域番号 |
16530089
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
松本 礼二 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (30013022)
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研究分担者 |
吉野 孝 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (00158487)
川岸 令和 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (10224742)
谷澤 正嗣 早稲田大学, 政治経済学術院, 助教授 (20267454)
古矢 旬 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90091488)
中野 勝郎 法政大学, 法学部, 教授 (70212090)
宇野 重規 東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (00292657)
川出 良枝 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (10265481)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | デモクラシー / トクヴィル / アメリカ / フランス / 自由主義 / 共和主義 / 反米主義 / 戦争 / 現代政治哲学 |
研究概要 |
本研究の目的は、トクヴィルの政治理論に照らしてフランスとアメリカという近代デモクラシーの二つのモデルを比較し、両国の歴史的発展の中に二つのモデルの対立と相互影響関係の諸相を検証することにある。個別の論点として特に詳しく検討されたのは、トクヴィル以後のフランス人のアメリカ観、20世紀における反米主義の興隆、米仏両国の現代政治哲学におけるトクヴィリアン・モーメントの検出などである。 2年間の研究を通じて確認された主な知見を以下に列挙する。 (1)米仏友好関係はアメリカ独立革命時以来の長い歴史を有するが、20世紀に合衆国がヨーロッパに本格的に関与し、超大国に成り上がったことはフランス国民の反発を招き、とりわけ、冷戦はフランス知識人の反米主義を育てることとなった。 (2)冷戦の終結とソ連社会主義の崩壊は社会主義に対する自由民主主義の勝利を明らかにしたが、アメリカの覇権の下に進むグローバライゼーションは、アメリカ・モデルの世界化をもたらしたわけではなく、それへの種々の反発を生み、ヨーロッパとアメリカの距離を広げ、フランス・モデルの再生をもたらした。 (3)こうした世界の状況の変容はトクヴィルのデモクラシー論の読み直しを要請している。宗教勢力の政治的影響力の増大、格差と不平等の拡大、「社会資本」の減衰と公共生活の縮小といった近年のアメリカに際立つ傾向は、トクヴィルのアメリカ観の再考を促している。 (4)フランスに近年著しいトクヴィル復興は、アングロ=サクソン社会に範をとった彼のフランス政治文化批判がフランスの世論にようやく受け入れられたことを示す。しかしトクヴィルのアメリカ批判も今日の歴史的文脈において新たな光を当てられている。今日の米国でトクヴィルが共和主義ないしコミュニテリアンの文脈で語られるのに対し、フランスでは共和主義の自由主義的修正に貢献しているといえよう。 (5)トクヴィルが一九世紀の歴史状況を背景に指摘したフランス・デモクラシーの問題点や危険の多くは、今日のフランス社会にとってそれほどの脅威ではない。逆にそうした危険から免れていると彼がみた米国についてこそ、今日では深刻な問題となっている。戦争や軍事専制、政府の強大化はその著しい例である。
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