研究課題/領域番号 |
16530118
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
理論経済学
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
太田 博史 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (50118006)
|
研究分担者 |
片山 誠一 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (70047489)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2006
|
研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
|
配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2006年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2005年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2004年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
|
キーワード | 再生可能資源 / 資本蓄積 / 不確実性 / ブラウン運動過程 / ポアソン確率 / 破滅確率 / 共有資源 / 持続可能性 / ボアソン確率過程 / ポワソン過程 / ジャンプ・プロセス |
研究概要 |
本研究の目的は、天然資源以外に然したる収入源を持だない経済が、長期にわたって存続し続けることができるかどうかを理論的に解明することであった。採掘された天然資源を工業国に売って生活していくだけでは、自国経済の持続可能性の確保がおぼつかないような途上国が、将来に向けて自活の道を採る手だてを考えることは自然な成り行きであるが、果たしてその持続は本当に可能であろうか。 3年間にわたる研究で用いた分析モデルは、(1)再生可能資源とその他の物的資本という2種類のストック変数を考える、(2)それらを用いて生産される複合計を消費および投資活動に利用する、および(3)ストックの増減量に不確実性を導入する、という特徴を持っている。(1)は、天然資源は如何に再生可能であれ、いずれは枯渇することを前提にしなければ、経済学的な分析にはなじまない(枯渇する可能性がゼロであるとわかっておれば、各時点での採掘量の多寡こそ気にはなるが、持続可能性には問題がなくなる)と考えられるので、枯渇する前に、資源を他の物的な資本に移し替えておく必要性を理論的表現するための装置である。また、(2)は当該経済が最適に運営されているという条件の下に持続可能性を検証するために、生産された財を消費と物的資本蓄積のための投資に適切に振り分けることを保証するためである。さらに、(3)については2種類の不確実性を考えた。ストック変数の時間の経過に伴う変化が連続的である場合と、離散的な場合とである。前者はブラウン運動を、後者はポワソン過程を用いてモデル化した。ストックの大きさを現在時点では確実に把握していて、1期先のストックはごく少量の増減を被るということがわかっている経済でも、遠い将来になれば増減の幅を極めて大きく捉えざるを得ないという状況を表現するにはブラウン運動が最適である。一方、目立った変化は時々刻々起こるのではなく、忘れた頃にやってくるが、増減の幅と次の変化までの間隔は一定ではなくまちまちである状況を表すために複合ポアソン分布を考えた。 主な研究成果として、(1)不確実性がない場合、すなわち上記(3)を想定しなければ、当該経済に定常状態が存在すること、(2)資源ストックに不確実性を導入すると、最適採掘量は不確実性がない場合より少なくなるが、最適な資源消費量は変わらないこと、(3)不破実性下の資源経済が破綻する確率および生き延びる確率に関する命題を打ち立てることができたことである。
|